最近、「正直」を前面に押し出し、店舗を増やしているスーパーの特集をテレビで見かけた。売価は、他のどの店よりも安く設定しているという。その番組では、その経営者を大いに賞賛していた。
さて、ここから、話は一般論として述べる。
この安売りに取り組む姿勢が問題だ。その方法は、大きく3つある。
- メーカーに原価の値下げを強要せず、自らの内部的な努力によって、売価の引き下げを実現する
- 「販売力」というものを武器に、メーカーと原価交渉して、売価の引き下げを実現する
- 国内や海外の中から、原価の安い仕入れ先を探し、売価の引き下げを実現する
また、効率化を引き起こし、その結果、人々は、仕事を奪われ、路頭に迷う。
少し、話は逸れるが、 温室効果ガス削減の流れの中、恐らく、多くの日本人は、中国に対して「なぜ、環境のことを考えないのだろう・・・?」という疑問や憤りを感じていることだろうと想像する。
なのに、この「安売り」をする経営者たちは、あたかも消費者の為の救世主や成功者のようにもてはやされる。(これは、マスメディアの責任かもしれないが・・・)
戦後、これまでの歴史の中で、スーパーや量販店は、日本の社会や文化をどれだけ破壊してしまったかを、自覚して欲しい。
流通業に限らず、大型チェーンは、もれなく地域社会の破壊者だと言っても過言ではない。
激安の散髪屋や美容院などというのものさばり始めた。
これらは、一般市民の立場に立てば、その時は、とても便利でとても助かるのだが、でも、将来的には絶望的だ・・・。
なぜなら、集落から、商店を消滅させ、商店を消滅させてしばらく活動したあと、不採算店の整理や倒産などといって、その地域から無くなる。
残るのは、住宅だけで、それは、廃墟の一歩手前の状態だ。やがて人は住まなくなる。
そんなことが繰り返されるのである。
そんな安売り・安値のチェーン展開を目指す諸君、
もし、その地域で、はるか遠い未来まで、そのサービスを続けなければならないという責任感がないのなら、もう、その活動はやめてもらいたい。
っていうか、そんな約束を出来る人など、誰もいないはずだ。
「いや、おれは約束する」なんていうやつがいたら、そいつはアホだ。
もし、商店街が発達している地域に、新規出店を考えているようなら、地元の商店をリスペクトし、出店は見送るべきだ。
成熟社会においては、企業は、もっと考えるべきことと役割があるはずだ。
亀井さんが、経団連の御手洗氏に言って話題(というか問題?)になった言葉がある。
その言葉で、亀井さんが言いたかったのも、こんなことだったのではないかと想像している。
こんなこととは、「経済や利益のことばかり言ってないで、社会問題に対して君たちにできることがあるだろう。なぜ、しない!」という感だ。
余談だが、成熟社会において「成長率」や「前年比」などという変化を表す指標は不要だ。しかし、それらの指標を重視して企業に某かを迫るような雰囲気を作り出す、株式市場やそれに関わる人たちも、もう少し賢くなってもらいたいものだ。
思いつきだが・・・
例えば、東証一部、二部などの上位に「東証安定部」っていうものを作るとか。その位置づけは、『社会に貢献する、最も信頼できる企業のみが上場できる』といったことにして、「◎◎比」とは別の基準で評価するのだ。例えば、社会貢献度とか・・。そこに属している企業に投資しているということにも、社会的なステータスを持たせても良いかもしれない。株主が主張できるのも、社会貢献に対してのみとして、利益や配当という低い次元の要求は出来ないようにする。
なんせ、企業を『~~比』という指標の呪縛から解放してあげることが重要だと考える。
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