2011年7月5日火曜日

放射線とがんに関する記事

次のような記事を見かけた。

放射線問題に限らず、ありがちな論理展開なのだが・・・

【医の常識非常識】不健康な生活習慣の方が、がんに対するリスクは高い - 政治・社会 - ZAKZAK

福島第1原発事故による放射性物質の健康障害について考えてみたい。最初に問題となったの放射性ヨウ素(I-131)は、体内に入るとほとんどが甲状腺に蓄積されるので、内部被曝による遅発性の甲状腺がんになる可能性がある。特に甲状腺にヨウ素を取り込んでいる成長期の子供は要注意ということになる。


【中略】


しかし、ひとつだけはっきりしていることがある。それは野菜不足や塩分の取りすぎ、喫煙といった不健康な生活習慣の方が、がんに対するリスクは放射線よりはるかに高いということである。

もともと存在しなかったところに新たに生じた問題を、このような論理で説明するのはおかしい。


道を歩いていて ”誰かが履き捨てたガム” を踏んでしまって「ガムを踏んでしまった!」と騒いでいる人に、



  • 「そんなに騒いでも意味はない。道を歩いていれば、誰でも知らないうちに、犬のクソやその破片を踏んでいるものだよ」


とか、


  • 「ガムよりも犬のクソを踏んだ方がよっぽど嫌な気持ちになるよ」


などと言っているのと、論理構造は同じだ。



しかも、「不健康な習慣とがんとの関係」に統計的な推量ができたとしても、それによって因果関係があることを科学的に証明したことにはならない。



それらの論点を曖昧にしたまま「はっきりしていることがある」と断言してしまっていることが、なんとも恐ろしい。

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